TanéはOn-Chain Generative Art DAOのBright Momentsに投資をしています。彼らのDAOからCrypto CitizensのNFTを購入する形で投資を行いました。
長期的にBright Moments、Generative Artの発展に貢献していきたいと考えています。
(本当はBright Momentsについても紹介したいのですが、Tokyoのローンチに合わせて他にもコンテンツがたくさん出ると思うので、そちらに譲ります。)
投資先のBright MomentsのTokyoのローンチに合わせて、On-Chain Generative Artについて書きたいと思います。
TL;DR(要約)
- Generative Artは、20世紀のアートの流れの中で生まれてきて、傍流にいたが、blockchain、NFTと出会い、一気にメインストリームに躍り出た。
- それまでのDigital Artでは供給が制限できなかったが、blockchainによって供給の上限を誰もが検証できる方法で設定できるようになり、作品の希少性が担保されるようになった。
- Generative Artは、コードで数百、数千の作品を生み出すだけでなく、コレクターの数が自然と多くなることで、作品のまわりにコミュニティを形成することができる。そのコレクターコミュニティとコラボレーションをすることでまた新たな価値が生まれている。
- 実際に、Artblocks、fxhashなどを始めとするGenerative artのプラットフォームの取引金額はとても大きく、今後も伝統的なアートの一つとして成長していく。
Generative Artとは
Tyler Hobbs, FIDENZA 2021
私がはじめてGenerative Artに出会ったのは、Art BlocksやTezosのfxhashなどのGenerative Artのプラットフォームでした。
その中でも、Tyler Hobbsの絵に目を奪われたのを覚えています。彼の作品のFidenza #313は$3.3Mで売買されていたこともあり注目されていました。1
彼の作品がどのように創られているのかが気になって、p5.jsで自分でも創ってみようと挑戦したことを覚えています。
Generative Artは、アナログであろうと計算機であろうと、一連の指示に基づいて作品を作成する方法です。
1960年代に生まれてきたアートの1ジャンルです。アート形式が拡大するにつれて、コンテンツをランダムに生成するためのシステムやアルゴリズムが使用されてきました。
このGenerative ArtがNFT(Non Fungible Token)などのブロックチェーンの技術と融合し、一気に注目されるようになりました。著名なアーティストの作品は、2020-2021年のブルマーケット時はもちろん、2022年のベアマーケットに入ってからも高額で取引されていました。
Generative ArtのプラットフォームのArtblocksの売上は、ピーク時の2021年8月に月間の取引高$586M、ベアマーケットの直近の2023年3月でも$10Mの取引高を記録。2
Christie’s, Sotheby’sなどの伝統的なアートのプレイヤーも専門部署を立ち上げており、注目度はますます高まっています。
Generative Artの領域で一番有名だと言っても過言ではない Tyler Hobbsは自身のブログの中でこう述べています。
なぜOn-Chain Generative Artが重要なのか
On-Chain Generative Artがなぜ重要なのか。私達は下記のように考えています。
ブロックチェーンによる希少性の担保
ブロックチェーンにより、デジタルアートの供給に上限を設けることが可能になりました。
これによって、アート作品の希少性を担保することが可能になったんです。これはそれまでのデジタルアートの価値を一変させる画期的なできごとでした。
自然と生まれるコミュニティの力
Generative Artは、コーディングによって数百、数千の作品を生成することができます。作品の数が多いからこそ、自然とコレクターのコミュニティが形成されるのです。
それまではアート作品といえば、収集しても自宅か保管庫においていて、基本的には少数の仲間内でしかみることができませんでした。
しかし、オンチェーン上で誰もが自由に確認できる形で作品が公開されているので多くの人が見ることができるし、アーティストや同じ作品を持っているコレクターもすぐつながることができます。
コレクター同士が協力してアーティストを支援したり、アーティストが他のアーティストの作品を保有していて、つながり、コラボレーションに発展するなどの例も多く生まれています。
中長期の活動を支援できる
プロフィールピクチャー(pfp)などのNFTのプロジェクトは、10,000個のNFTを瞬間的に販売するものが大半。活動を継続的に行うところは少なく、活動停止や盛り下がっていくものが多くなっています。
Generative Artは作品を創作したアーティストが中心にいて、彼・彼女が創作活動を続けていくことがその作品が紐付いたNFTの価値の源泉となっているのです。
私達は、今後、中長期的にOn-Chain Ganerative Artが大きく成長していくと考えています。
On-Chain Generative Artのアーティスト・作品
On-Chain Generative Artの代表的なアーティスト、作品を紹介していきます。 (素晴らしいアーティスト、作品がたくさんあるので、全部紹介しきれませんが・・・ご容赦ください。)
Autoglyphs
Autoglyphsは、CryptoPunksの創作者でもあり、NFTの歴史的・文化的意義に多大なる貢献をしているLarva Labsが創作したEthereum上で最初の「On-Chain」Generative Artです。3
アートワークは、ユーザーがMintするとコードから創り出され、所有者の記録もすべてスマートコントラクトが行います。彼らはこの作品の意義を下記のように述べています。
Chromie Squiggle
Chrommie Squiggleは、Artblocksの創業者のSnowfoが作ったGenerative Artの作品です。Artblocksのロゴにも使用されています。また、数億円で作品が売買されたりしていて、Generative Artの中で最も有名な作品の一つです。
これは、SnowfroがArtblocksを立ち上げたとき、Artblocksは世界初のOn-Chain Genrative Artのマーケットプレイスでした。
(開発資金の捻出のために、CryptoPunksの中でも最もレアなZombieのNFTを開発者にたった200$で売却して開発をはじめたという面白いエピソードもあります・・4)
今では当たり前ですが、当時は、On-Chain Genrative Artを購入する体験は目新しいものでした。購入するときは既に出来上がった作品ではなく、購入され、スクリプトがNFTをMintするまでは作品が存在しなかったからです。
そのため、自分自身で実証するために作ったのが、Chromie Squiggleでした。このような経緯も含めて歴史的・文化的意義があるため、非常に価値のある作品だと捉えています。5,6
Tyler Hobbs
Tyler Hobbsは、On-Chain Generative Artの申し子、1、2を争うアーティストです。
前述しましたが、彼の代表作の一つである2021年に出たFidenzaの#313は、$3.3Mで落札されました。1
その後のマーケットの崩壊を経た後でも、彼は一時の熱狂とは一線を画しているアーティストであることを自身で証明しました。
私も当時、彼のことが気になって、彼のサイトでどのように作品を作っているのかが書かれているブログを読みました。
自分でコードを書いてみて、Fidenzaのような美しい作品を書く難しさを実感しました。彼に尊敬の念を頂いたのを覚えています。(興味のある方はこちらからどうぞ。)
Terra/Luna、3ACの崩壊後のベアマーケットの最中の2022年9月に実験的なQQLという作品を発表しました。
QQLのMint Passの保有者は、アルゴリズムをつかって、作品をつくることができ、NFTとして画像を保存することができます。
900枚のQQLのMintパスを発売し、総額$17Mを販売しました。7
作品の素晴らしさ、実績もさることながら、この記事の最初の方でも紹介したように、彼のブログ、インタビューでの彼の創作に対する考え方も素晴らしいです。
Matt DesLauriers
Matt DesLauriersは、カナダ・トロントを拠点とする学際的なアーティストであり、クリエイティブ・テクノロジストです。
Generative Art、クリエイティブ・コーディング、インタラクティブ・インスタレーションなどの分野でとても良く知られています。彼の作品は、アートとテクノロジーの交差点を探求することが多く、観客に好奇心と驚きを与えることを目的としています。
ここ数年はNFTで作品を発表しており、Artblocksでも有名なMeridian、SubscapesやBright MomentsでのFOLIOは彼の作品です。
Meridianは何十万もの小さな色のストロークを使用して、層状の地形を構築していて、美しい作品に仕上がっています。
熱狂的に支持するコレクターも多く、Tyler HobbsのFidenzaと共にMeridianの名前を上げる人が多い作品です。
qubibi
Kazumasa Teshigawaによるデジタルアートのレーベルquibibi。
彼の抽象的なパターンの作品は魅力的でとても人気があります。
彼のインタビューは独特で彼の創作に対するスタンスがわかるものが多く、作品に興味がある人は一読することをおすすめします。
A-Mashiro
No One Said A Word And Left The Place.Only The Radio Was Playing.
A-Mashiroは東京を拠点とする写真家、画家、デジタルアーティストです。彼は当初pfpなどのNFTに興味が持てなかったと言っています。しかし、2021年にTezosのNFTエコシステムを発見し、NFTの作品を発表しはじめました。
彼は、今回のBright MomentsのJapanese Contemporary のアーティストの一人に選ばれています。
彼の作品は一見するとGenerative Artのように見えますが、一つ一つ自身の手で制作しています。今回、はじめてCreative Coderと組んでGenerative Artの作品も発表されるようです。
他にも、Zancan、William Mapan、Thomas Lin Pederson、Emily Xieなどの素晴らしいアーティストがたくさんいるので、ぜひチェックしてみてください。
また、Generative Artに興味をもった方は、Artblocks、fxhash、Bright Momentsを見てみると楽しめると思います。
最後に
On-Chain Generative Artについて、簡単に紹介しました。
日本では、プロフィールピクチャーのNFTが高額で取引されたり、ブロックチェーンゲームの売上等がメディア等で注目されがちです。これらの現象は一過性のように見えます。
しかし、水面下では、ブロックチェーンやトークン(FT、NFTなど)を利用して、社会に対して新しい仕組みや新しい価値を生み出す例が増えています。
特に、NFTを中心としたブロックチェーン技術を用いることで、広範なコンテンツ分野において、クリエイターやコレクター、そしてエコシステム全体にとっても、より良い世界を実現できる可能性が高まっています。
Tanéは、引き続き、社会・人類にとって意味のあるCrypto/Web3の起業家・プロジェクトに投資・支援を行っていきます。
この記事を書くにあたり、知見やフィードバックをくれた A-Mashiro cryptolibertarian🌓老荘禅 degoo ありがとう。
参考リンク:
2 Art Blocks Sales Volume Data, Graphs & Charts
3 John Watkinson, the Punk that started it all
4 As Sales Exploded on Art Blocks, Its Founder Looked for Ways to Cool the Fervor
5 How Chromie Squiggles Pioneered Generative NFT Art
6 100 UNTITLED SPACES BY SNOWFRO
7 Tyler Hobbs QQL - Pace Gallery
8 Art Blocks Fidenza Creator Sells $17M of Ethereum NFTs Amid Market Slump
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